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コラム

「見えない世界」であそぶ

角野栄子さんは1935年1月1日、東京・深川で6人兄弟の次女として生まれました。5才で母を失うという悲しいできごとを経験し、不安をかかえながら少女時代をすごします。当時の気持ちを、のちに次のように話しています。

この世に生まれて、たった五年で愛する人の死を知るって、あまりにもショックでね。(略)いつも孤独を感じ、不安を抱えた子供でした。ひとり柱に背をつけて、うつむいて死というものをしつこく考えていました。

『『魔女の宅急便』が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日 いろいろ』
角野栄子 KADOKAWA

そんな栄子さんを支えてくれたのは、お父さんでした。お父さんは、言葉をおもしろく、まるで歌うように話すのが得意な人でした。あるおぼんの日、むかえ火をたく時にお父さんはこう言いました。

今年はタンスの位置を変えましたから、お間違えのないようにお仏壇までいらしてください。

『「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出』
角野栄子 KADOKAWA/角川文庫

そのとたん、見えない世界にいるお母さんが、ふっと、すがたをもってあらわれたように感じられたといいます。 それから栄子さんは「見えない世界」を想像して遊ぶようになりました。その想像の楽しさが、やがて作家として物語を書くことへとつながっていきます。小さいころにお父さんから聞いたたくさんの言葉や音が、栄子さんの中で物語となり、今もわたしたちにとどけられています。

【参考】

『『魔女の宅急便』が生まれた魔法のくらし 角野栄子の毎日いろいろ』
角野栄子 KADOKAWA

『「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出』
角野栄子 KADOKAWA/角川文庫

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