第4回 企画展「ここ、コリコ」
概要
『魔女の宅急便』の出版40周年を記念して、物語の舞台となった「コリコの町」をジオラマで表現します。旅立った主人公の少女キキが、「ここ」に住むと決めた美しい港町。作者の角野栄子さんは、物語を書き始める前に、まずこの町を空から見た地図を描きました。古いものと新しいものが混ざり合い、ひとびとがにぎやかに暮らす、ここ、コリコ。おなじみのパン屋さん、時計台、公園、森がみえます。愛読者の方も、これから読む方も、眼下に広がる小さな町の風景を眺めながら、そこから生まれてくるたくさんの物語に想いを巡らせてください。
会期
2025年4月12日(土)~2025年12月15日(月)
会場
魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)2階ギャラリー



見どころジオラマを取り巻くように並んだ10個のボックスのなかには、『魔女の宅急便』のさまざまな名場面をかたどったミニチュア模型も展示されています。キキのお店の奥ではどのような暮らしが営まれていたのでしょう? 公園のジャングルジムからはどのような風景が見えたのでしょう? 挿絵をそのまま立体化したミニチュア模型をのぞき込めば、その奥に広がる物語の世界を感じることができます。
原作本のご紹介

初版1985年より。魔女の宅急便シリーズ全6巻(《1巻/林 明子、2巻/ 広野 多珂子 、3巻〜/佐竹 美保》・絵)と特別編3巻(佐竹 美保・絵)全て福音館書店
ひとり立ちした少女の成長の物語
「お母さんは魔女、おとうさんは普通の人、その間に生まれた女の子キキは、自分から魔女になるときめると、十三歳の年、満月の夜、黒猫のジジと旅立ちます。そして持っているたった一つの魔法、ほうきで飛べるという力を使って、コリコの町で宅急便を始めます。物を運び、物と一緒に物に込められた人の願いや、想いも運びます。この仕事はキキの心にも大きな贈り物を運んでくれました。心を自由にして生きていける場所を見つけたのです。」
(福音館書店公式サイト「魔女の宅急便について」より引用)
『魔女の宅急便』は、当初1982年から1983年に雑誌「母の友」 ※ (福音館書店刊行、2025年3月号をもって休刊)に連載されました。その後、内容を新たに書き下ろした単行本として1985年に『魔女の宅急便』が刊行されると人気シリーズとなり、福音館書店から本編6巻と番外編3巻までが刊行されています。(2025年1月現在)
初版後40年たった現在においても『魔女の宅急便』は高い人気を誇り、判型を変え、新たな作画家を迎えた新装版が次々と登場しています。また、海外での出版も近年、相次いでいます。『魔女の宅急便』は海外からの翻訳出版依頼も多く、2024年はウクライナからの出版依頼もありました。
※「母の友」は1953年創刊された生活文化雑誌で、絵本『ぐりとぐら』の原型となった『たまご』といった童話が数多く掲載されていました。
文庫版 魔女の宅急便

2015年 100%ORANGE・絵/K A D O K A W A

2025年40周年特別カバー(文庫版1巻) 遠藤達哉・画/福音館書店
海外版『魔女の宅急便』



左:トルコ語版(2022年トルコ・Derya Akkuş Sakaue・翻訳/Itaki Publishing)
中央:ポルトガル語版(2021年ブラジル・Lúcia Hiratsuka・翻訳 Daniel Kondo・絵/Editora Estacao Liberdade)
右:英語版(2020年アメリカ・Emily Balistrieri ・翻訳 Yuta Onoda・絵/Penguin Random House)
「ものがたりには魔法があり、本は、子どもたちの「発見と想像」「冒険とさらなる創造」の源です。」と常日頃から栄子さんは語ります。その思いは出版から40年を経た今も、『魔女の宅急便』という作品を通して世界中の子どもたちへ広がっています。
協力
福音館書店
K A D O K A W A
集英社